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 戰後の世界に民主主義人道主義の思想が益々旺盛となるべきは最早否定すべからざる事實といふべく、我國亦世界の中に國する以上此思想の影響を免かるゝ能はざるは當然の事理に屬す。

 蓋し民主主義と云ひ人道主義と云ひ其の基く所は實に人間の平等感にあり。之を國內的に見れば民權自由の論となり、之を國際的に見れば各國民平等生存權の主張となる。平等とは個人的若くは國民的差別を拂拭するの意に非ず、個人としては其個性を、國民としては其國民性を十分に發揮せしむるに當り、之が障害となるべき一切の社會上の缺陷、例之政治上の特權、經濟上の獨占の如きものを排除して以て其の個性若くは國民性の発揮に對する機會を均等ならしむるの意なり。かくの如き平等感は人間道德の永遠普遍なる根本原理にして、所謂古今に通じて誤らず中外に施して悖らざるものなり。固陋の徒或は平等の語を聞きて我國體に反する如く考ふると雖も、我國體の觀念は此の人類共通の根本的倫理觀念を容るゝ能はざる程しかく偏狹のものに非ずと信ず。何はともあれ、民主主義人道主義の傾向を善導して之が發達を期するは