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本集の編󠄁纂に就きて

一、本集は先生の遺󠄁稿の散佚するを恐れ、之れを一纏めにして、先生の面影を永く後世に傳へむが爲めに編󠄁纂したるもの、『大西博士全󠄁集』と名づけたるは、略〻先生の遺󠄁稿の主要なるものを網羅したればなり。

二、『論理學』、『倫理學』、『西洋哲學史󠄁』等は、もと早稻田大學の需めに應じ其の講義に揭げられしものにて、先生の蘊蓄を悉くされしにはあらず。雜著󠄁に載せたる評󠄁論創作等、亦其の時の塲合に臨み當座に作り成されしものにて、是れはた先生の全󠄁力を注がれしものにあらず。

三、本集の纏まりたる著󠄁述󠄁の中、完全󠄁せるは『論理學』と『良心起󠄃源論』との二つのみ、他は皆歐洲留學其の他の事故の爲め、半󠄁途󠄁にして筆をとどめられしものなり。

四、『西洋哲學史󠄁』は先生の口述󠄁により綱島榮一郞、五十嵐力、兩人の綴りし文󠄁に、更󠄃に先生の加筆せられしものなり。第十三章ソークラテース(一七六頁)までは綱島榮一郞の筆に成り、餘は五十嵐力の筆に成れり。卷中往々先生自らの文󠄁