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知識論上ポジティヸズムを取るに至れる者あり、ラアス(Laas 一八三七―一八八五)リール(Riehl 一八四四生)等即ち是れなり。


コント

《コントの哲學。》〔九〕今世紀に入りて佛蘭西の哲學界にはメーヌ、ド、ビラン(Maine de Biran 一七六六―一八二四)及びヸクトル、クザン(Victor Cousin 一七九二―一八六七)等あり。クザンは謂はゆる折衷學を主張して其の勢力頗る大なりしが而かも彼等の所說は哲學史上新潮流を惹き起こしたるものにあらざりき。今世紀に入りて佛蘭西に出でたる最も重要なる思想家はオーギュスト、コント(Auguste Comte 一七九八―一八五七)なり。

コントの哲學は謂はゆるポジティヸズムなり。彼れに從へば、吾人の知り得るは現象及び現象の前後と共在とのみ。以爲へらく、人類の思想は三時期を經過して進めるものなり。第一は神學的時期にして有心有情の者の働きを假りて現象の說明をなす時なり。第二は形而上學の時期にしてこれは吾人の知覺し得ざる形