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てラインホルドは吾人の意識是れ即ち其の事實なりと考へたり。以爲へらく、吾人の意識の示す所を見るに各觀念に必ず三要素の含まり居ることを發見す、主觀、客觀及び其の間に於ける觀念作用是れなり。是に於いて彼れは意識の中に含まる此の最高原理を言ひ表はして、觀念は意識に於いて觀念さるゝものと觀念するものとに區別せられ而かも其れが觀念作用に於いて相互に關係せしめらると云へり。彼れは此の根據よりして吾人の知識の素材の客觀的由來及び其の形式の主觀的由來を說明せむとせり。

《シルレルの美說。》〔五〕ラインホルドは專らカントが知識論の方面に立ちて其れの統一的根本を示さむとしたる者なるが別に主として其の倫理及び審美論の方面に於いて其の二元論の獘を救ふことによりてカント哲學を開發せむと力めたる者は有名なる詩人


シルレル(Johann Christoph Friedrich Schiller 一七五九―一八〇五)

なり。シルレルはカントの審美說より出立して美學史上永く記憶せらるべき功