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の基礎を開けるものなり。

《フランシス、ベーコンと其の著書。》〔二〕已にテレジオ、カムパネルラ及び懷疑學者等は經驗主義を主張して吾人の知識は經驗を基礎とすべき者なりと說けり。されどテレジオ等は斯くの如く說きながら其の實際に爲せる所を見るに想像に走り一躍して純理哲學論に飛び上がることに躊躇せざりき。畢竟彼等は未だ經驗的硏究の何たるかを明瞭に自識せる者にあらず。此の經驗的硏究法を先づ最も明らかなる自識もて說き出だせるは


フランシス、ベーコン(Francis Bacon 一五六一―一六二六)

なり。是れ卽ち彼れが近世學術の歷史に重要なる位置を占むる所以なり。ベーコンの著書中最も肝要なるを "Essays"(『論文集』)"Advancement of Learning"(『學問の進步』彼れ後に之れを拉丁語に移し且つ敷衍して "De Dignitate et Augmentis Scientiarum" と題しき)及び "Novum Organum" とす。

《ベーコンの功績は歸納的硏究法を明らかにせるにあり。》〔三〕ベーコンは明らかに在來の舊學問の信憑するに足らざることと其を全