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に從うて自然に階級間に不平等を來たし又其れに從ふ獘害をも生起し來たれども是れ到底人類の進步に免るべからざる所にして斯く個々人の競爭することなくしては吾人の能力を發達せしむる能はざるなり。かくの如き不平等、競爭及び之れに伴ふ獘害のあるは免るべからざる數なりといふものから其等によりて眞實に文明の進步を計らむには個々人が組織する社會に安寧の保たるゝを要す、而して其の安寧は啻だ一國家の內部に於いてのみならず又國家と國家との間にも保たれざるべからず。但し或狀態に在りては國家と國家との間に起こる戰爭てふものが却つて吾人を刺激して文明上の進步を爲さしむる利益あれども人類の終に到達すべき極致即ち完き文明はあらゆる國家の間に世界的同盟の形づくらるゝに至りて始めて成就せらるといふべきなり。


審美論目的說

《自然界道德界の間に位する判定力の境涯。》〔四一〕カントの知識論に言ふ所は自然界の法則にして其の道德論に言ふ所は自由の界に於ける規律なり。自然界は學理的知識の境涯に在り、其は畢竟關係