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を招きたりと考へたるより第二版に於いては主として此の方面に重きをおきて論じたりといふほどのことは正確なるべし。一千七百八十三年カントは "Progenomena zu einer jeden Künftigen Metaphysik" を著はせり。此の書に於いて旣に彼れは其の『純粹理性批判』の第二版にて重きを置きて說かむとしたる實在論的方面をば其の第一版に於いてよりも明瞭に說き現はしたり。且つ此の書に於いては彼れが『純粹理性批判』に於いて綿密なる硏究の順序を一々に示して到達したる結果をば簡明に結束して開陳せり。

彼れは一千七百八十五年には "Grundlegung zur Metaphysik der Sitten"(『倫理哲擧の基礎』)を著はして其の倫理說の原理を論じ、一千七百八十六年には "Metaphysische Anfangsgründe der Naturwissenschaft"(『自然科學の哲學的原理』)を著はせり。

彼れは一千七百八十八年には『實踐的理性批判』("Kritik der praktischen Vernunft")を著はしぬ、是れ彼れが有名なる第二の批評論にして吾人の道德上に於ける理性を論じたるもの、又前に云へる "Grundlegung" と共にカントの倫理哲學を窺ふに最も肝要なる書なり。次いで一千七百九十年『賞鑑性の批判』("Kritik der Urteilskraft")を著