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西洋哲學史下卷

近世哲學

第二十八章 過渡時代

《過渡時代に於ける思想界一般の狀態。》〔一〕夫れ中世紀より近世紀に移る過渡は歐羅巴の歷史に於ける大變動の時期にして種々の原因湊合して其の如き變遷を來たしたるなり。一はダンテ、ペットラルカ、ボッカッチョ等に剏められ、一千四百五十三年コンスタンチノープルの陷落によりて更に其の動力を增したる古代文藝の復興により、一は種々の發明及び地理上並びに學術上の發見(活版の發明、亞米利加の發見、印度への航路の發見、コペルニクス等の天文上の發見等)によりて時人の眼界の廣まれること、社會の組織に諸種の變動の起これること(即ち封建制度の衰微、市府の興起、國王の權力の增長、國家統一の傾向等)、又これに伴へる羅馬法王制度の衰微腐敗、及び宗敎上に於いては羅馬