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言にいへば、彼れが觀念を取り扱ふや恰もこれを以て一定不變の關係を具へ居る如きものとなせり。此の點に於いてはロックは唯理論者の考へ方を脫し居らずと云はざるべからず。但し彼れは吾人の推理と云ひ知識といひ皆吾人の心に存在する觀念を以てする作用に外ならずとなし、而して其等觀念は唯だ個々のものとして存在して、其等觀念其のものの遍通なるにあらず、遍通といふことは唯だそれに附屬せることにして、それは一個物のみならず多くの個物が其の一觀念によりて表示せらるゝことの外にあらずと云へり。然れども一個の觀念に外ならざるものが何ゆゑに多くの個々の物を表示し得るか、換言すれば、何ゆゑに遍通性を得來たるかと云ふことの說明は猶ほ彼れによりて明らかにせられず。彼れは吾人の有する觀念は其が存在の相に於いては畢竟個々のものたるに外ならずと說きながら、なほ時に觀念相互の間に遍通不動の關係のおのづから具はれるが如く說けるは畢竟彼れの知識論に於いて相反對せる二つの動機が錯綜せるがゆゑなり。

ロックはまた關係の觀念及び雜合狀態と名づけたる複雜觀念は皆吾人の心の造