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を組織する觀念は如何なる起原を有するものなるぞ、這般の問題を提出して歐洲近世の哲學に一大潮流を起こせるを、かのロックによりて最も明瞭に唱へ出だされたる經驗學派の哲學とす。而して此の經驗派哲學はライブニッツ・ヺルフ學派が獨逸の學界に瀰漫したる時には已に英吉利及び佛蘭西に於いて種々の發達を遂げ居たりしものなり。予輩はライブニッツ・ヺルフ學派以後獨逸に於ける、廣くは歐洲に於ける哲學史上の新時期に入るに先きだち眼を經驗學派の哲學に轉ずべし。


第三十七章 ヂョン、ロック

《經驗學派の開祖ロック。》〔一〕實驗哲學の故鄕とも云ふべきは英國なり。ベーコン出でて早く已に自然科學に於ける實驗的硏究の必要及び其の方法を論じ、ホッブス次ぎて當時の自然科學の根本的思想を取りて其が哲學を組織せむと試みたりき。されどベーコンの功績は專ら自然科學の精神を說ける所に在りて其の所說は能く經驗哲學の組織を成せるものと云ふべからず。又ホッブスは自然科學の根本思想を探用し