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狀態に進み行く所以なり。而して一物が一狀態に在るや皆其の當さに然るべき十分の理由ありて然るなり、其れが其の狀態に在りて他の狀態に在らざるは其の然る所以なかる可からず。凡そ存在するものは皆それぞれに殊相を具ふ、一物として全く他の物と同じきはなし。若し二物全く同じくば其れが何故に二物として存在するかの十分の理由を認むること能はず。一が此處に在り他が彼處に在りと云ふことに於いて已に其の差別を見る、若し其れが全く相同じくば何故に其の一が此處に在りて彼處に在らず、他が彼處に在りて此處に在らざるかの理由を認むる能はず。宇宙には一物として相同じきもの無しといふ、是れ即ちライブニッツの所謂 principium identitatis indiscernibilium(無同一の原理)なり、然れども其等一切の差別は畢竟皆程度の差別なり、種類に於ける絕對の差別に非ず。故に一物は凡べて他物と異なりながら又必ず相似たり。其の異なるは唯だ程度の上に於いてのみ、其の事相に於いては皆相類似す、何となれば各モナドは凡べて同一の宇宙を縮寫するものなれば也。故に吾人は類推して一物の狀態より他の狀態を知ることを得と云ふ、是れ即ちライブニッツの所謂類推律なり。