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アトム論の唯物說とプラトーン哲學の理想說とを其のモナド論に於いて調和し得たりと考へたり。ライブニッツは廣く諸種の書籍を涉獵して種々の思想に啓發せられたる結果として遂に自家の學說を建つるに至れるにて其の學說を通貫したる一大特色は調和といふ觀念にあり。彼れは幾多の特殊なる思想を調和して一大組織を成し上げむと力めたり。

《モナドの本性。》〔四〕ライブニッツは實在の本體を多元的に見て其の各〻を活動する力なりと見たり。而して彼れは機械說と目的說とを其の根本に於いて調和せむと力めたる所より其の所謂モナドの活動を以て發達進步と見たり。此の點に於いては彼れの說く所發達てふ觀念を根據としたるアリストテレースの哲學思想に似通ひたる所あり。而して各モナドの發達する狀態は自己以外のものによりて起こさるゝに非ずして自發自展するもの即ち其の可能性として本來具有せるものが漸次に開發し來たるなり。此の點に於いてライブニッツのモナド論はまたスピノーザの所謂本體てふ觀念と相接近する所ありと云ふも可なり、何となればスピノーザの所謂本體もライブニッツの所謂各モナドも其のものに於ける凡べての事