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なき空間の部分なるが如しと。かく云ふに至りてはジューランクスは旣に個々の物體が限りなき廣袤の樣狀なるが如く、吾人の個々の心は神てふ限りなき心の樣狀なりといふ見地に進みたる者と見らるべし。是れ明らかに一步を萬有神說に向けたるものと謂ふべき也。

《マルブランシ。》〔六〕同じくデカルト哲學の根據より出立し其の思想を進めて一學說を立てたる者あり、是れ


マルブランシ(Malebranche 一六三八―一七一五)

にして、彼れの說きし所是れまたデカルト哲學發達の一結果と見らるべきもの也。マルブランシは上に云へるオラトアール圑體の一員なり。彼れ偶然廛頭にデカルトの著書『人間論』を購ひ得て之れを讀み恰も我が竊かに思ひ求め居たるものに遭遇したるが如くに感じ喜悅禁ずる能はず、遂にデカルトの哲學を根據として更に硏究を進むることに一身を委ぬるに至れり。彼れが著書の中、最も有名なるは『ド、ラ、ルシェルシ、ド、ラ、ヹリテ』『眞理の探究』("De la Recherche de la Vérité")なり。マルブ