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る此等の事實は皆中世紀の理想及び其の理想の發現たるスコラ哲學の解體せむとすることを示せるものなり。

《哲學宗敎分離以後の硏究の新傾向、過渡時代の現象。》〔二二〕信仰と道理との分離はスコラ哲學當初の目的の達せられざることを表白したるものなれども件の分離の唱へられたるは(前にも已に云へるが如く)敎會に不利ならむとの旨意に出でたるにはあらで寧ろ却つて敎會の爲めに其の信仰を堅固なる基礎に置かむことを以て其の目的としたりしなり。然れども哲學と神學とが一旦相分かれて前者は專ら世間の事、自然界の事を硏究するものとせられ後者は唯だ出世間の事、超自然界の事を說くものとせられ、而して哲學が宗敎の敎ふる所とは全く獨立に硏究せらるべきものとなりて後は其の硏究の自然に取りて進み行くべき道は之れを豫想するに難からず。哲學にして若し獨立に硏究せられなば縱令敎會の宗敎に反抗する旨意を以てせずとも其の中世紀に說かれたる所とは大に相異なる新しき形を取り來たらむは自然の結果なるべし。而して哲學に志ある者が何時迄も「二重の眞理」といふ如き說に滿足せむは期望し得べきことにあらず、遂に全く舊時の思想を棄却し萬事を新たに造り上げむとするに至る