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スコラ哲學第一期
第二十四章 スコラ哲學の發生
エリゲーナ及びアンセルムス
《スコラ哲學の骨子、通性と個性との關係。》〔一〕希臘哲學に於いて新紀元を劃したるはソークラテースが所謂槪念的知識の論によりて開始せられたる硏究なり。件の思想はプラトーンのイデア論ともなり次いでアリストテレースの相素の論ともなりて遂に希臘哲學の頂上に達せり。中世紀哲學は其の主要なる觀念を希臘哲學に取り來たり之れに被らすに頗る趣を異にしたる衣裳を以てしたりしが謂ふところ主要なる觀念も畢竟ずれば曩にプラトーンのイデア論及びアリストテレースの所謂相の論となりて現はれたりしもの即ち通性の論に外ならず。通性と個性との關係は前に云へる實在論と唯名論との爭論の中心問題にして是れ即ち中世哲學の骨子とも謂ふべきものなり。
《新プラトーン學派の影響とスコラ哲學、スコラ哲學の濫觴。》〔二〕件の通性論即ちプラトーンに於いてイデア論となりて存在せる思想の