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からず。知見に從うて行ふことが吾人の堅固なる性格となりて始めて德を修めたりと謂ひつべし。
《政治論。》〔三二〕政治論 人間は先づ自然に家族をなし、次ぎに村落をなし、つひに國家を形づくるに至る、即ち何等かの社會を形づくらざるはなし。盖し人間は社會的動物にして其の天性として自然に社會を成すものなり(ἄνθρωπος φύσει πoλιτικόν ζῷον)。抑〻社會の大目的は相合し相助けて人々の發達を全うするにあり。故に國家の究極目的は(プラトーンの云ひし如く)人民を敎育して有德のものとなすに在り。然らば國家の形體は如何なるべき。さきにプラトーンは一の理想的國家を建てゝすべての國家をして皆同じくこれに則らしめむとせり。アリストテレースは廣く現存せる國家を比較硏究して國家の形體に取るべきもの三種ありと說けり。此の點に於いても彼等二人が其の思想の傾向を異にして、一は理想の高地に居て直下に事相を洞觀し、これは事實に根據して一步また一步理想の高きに上らむとするの別あるを認むべきなり。アリストテレース以爲へらく唯だ一種の國家のみが凡べての國、凡べての時、凡べての事情に適合すとはいふべからず。人民の