このページは校正済みです
第三期 組織時代
第十四章 プラトーン(Πλάτων)
其の性行及び著作
《プラトーンの生涯、性行。》〔一〕ソークラテースが敎學の全體を悟了し、又彼れ以前に出でたる物理家の諸說をも咀嚼して哲學上新たに一大組織を立てたる者はプラトーンなり。在來の希臘哲學に於ける諸種の肝要なる思想とソークラテースの新見地とは、彼れに依りて陶冶融合せられて、西洋哲學史上一大偉觀たるプラトーンが理想哲學は成り上がりたるなり。
《*》プラトーンは亞典府の人、紀元前四百二十七年(*或記錄に從へば四百二十九年)門閥の家に生まる。父をアリストーンといふ。プラトーン初め祖父の名を繼ぎてアリストクレースと稱しき。天資衆に秀で幼時より手厚き敎育を受け、夙に美術を愛する傾向ありて詩作をも爲したるありしが、後ソークラテースの人物と敎學