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銀河、慧星等につきても說く所ありしが、これらの點に於いては槪ねアナクサゴーラスに從へり。又宇宙の大曆に關しても說く所ありき。

《生理說。》〔八〕デーモクリトスの殊に秀でたりしは生物の論なり。就中人類の硏究に意を注げり。其の生理說に曰はく、心情の種々の作用は身體のそれぞれの部分に其の座を有す。腦は全身の主宰にして思慮の存する處、心臟は忿怒の情の育てらるゝ處、欲心の座は肝臟にあり。靈魂は生物の依りて以て活動し得るもの、其の質は圓滑にして動き易き火氣のアトムを以て成る。これは全身に散布す。其の微にして動き易きが故に空氣體內に入り來たりて靈魂のアトムを體外に壓出するの虞れあり。靈魂のアトムの減失を防がむため呼吸は二樣の働をなす、一には吸ひ込みたる空氣が體外の空氣に抗して其の侵入を妨げ、又一には吸ひ込みたる空氣より新たなる靈魂の元子を得て以て體內より流出するものを補ふ。盖し空氣中にはあまたの靈智存在せるが故に吾人は之れを體內に吸入し得る也。凡そ物熱氣あるほど生氣あり、即ち靈魂あり智性あり。此の神妙なる靈智は全世界に瀰漫し、一物として靈魂のその中に住せざるはなし。靈魂のアトムの全く離散する