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多ければなり。堅さは一物體內の空隙の分配の如何にかゝる。盖し相集結するアトムの總量を等しとせば其の集結によりて成る物體の全部分に成るべく平等に空隙の分配せらるゝほど其の體は密なれども軟なり、空隙の不平等に即ち片よりて分配せらるゝほど疎なれども硬なり。鉛は鐵よりも軟にして密、故にまた重し。斯くの如く物體の硬軟、疎密、輕重、大小は皆唯だアトムの集結の如何にかゝる也。地水風等は單純のものにあらず、皆種々のアトムの相寄りて成れるもの、唯だ火は最微圓滑なる同一種のアトムを以て成る、故に最も動き易し。テオフラストスの傳ふる所によれば赤き物は火と同種類の(ただそれよりも稍〻大なる)アトムを以て成る。此の種類の成るべく細微なるアトムを成るべく多く有するほど物體は光輝あり。思ふにかゝる詳細の說はデーモクリトスのなせる所ならむ。

《平等一如のアトムより如何にして性質上の差別を生ずる。》〔五〕斯く種々の形狀を有する而も其の性體に於いて平等一如なるアトムの相集結すれば何故に色聲香味觸等の性質上の(換言すれば感覺上の)差別を生ずる。エムペドクレースは唯だ四種の原素より在りとあらゆる性質上の差別を生ずと說きたるが如何にして其の然るかは考へがたし。思ふに此の困難を見たればこ