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貝殻

かなしきときは

貝殻鳴らそ。

二つ合わせて息吹きをこめて。

静かに鳴らそ、

貝がらを。

誰（だれ）もその音を

きかずとも、

風にかなしく消ゆるとも、

せめてじぶんを

あたためん。

静かに鳴らそ

貝殻を。

天国

おかあさんたちは

みんな一つの、天国をもっています。

どのおかあさんも

どのおかあさんももっています。

それはやさしい背中（せなか）です。

どのおかあさんの背中（せなか）でも

赤ちゃんが眠（ねむ）ったことがありました。

背中（せなか）はあっちこっちにゆれました。

子どもたちは

あかあさんの背中（せなか）を

ほんとの天国だとおもっていました。

おかあさんたちは

みんな一つの、天国をもっています。