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うたつてやる


小川はびつくりして

(しばらく)默つてゐる


牛と百姓のつゝましいねがひも

うたつてやる


牛と百姓は立ちどまつて

默つてゐる


傾いた家の古い憂愁も

うたつてやる


古い家は身うごきも

せずに默つてゐる


澄んだ泉の美しいのぞみも

うたつてやる


泉はうれしくて

默つてゐる


そのうち日暮がやつて來る

鶯はぐつたり疲れます


夜になると樣はしげみの中に

鶯をしまふのです


それから別の御掌をひらいて

月󠄁夜をはなつてやるのです