雲が
小さい雲が
月󠄁夜となる
私は
細い笛に
吹く
道󠄁や樹木の
かなしみを
寓話
うん、よし、話をしてやらう
昔 旅人が旅をしてゐた
何といふ寂しいことだらう
彼はわけもなく旅をしてゐた
あるひは北にゆき あるひは西にゆき
大きい道󠄁や小さい路をとほつていつた
行つても行つても
彼はとゞまらなかつた
降つても照つても
彼はひとりだつた
とある夕暮寂しさに
たへられなくなつた
あたりは暗󠄁くなり誰も彼に