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樂に生きてゐますと

村の人々に

言ふのです

お父󠄁さんそれは しかし

間違󠄁つてゐる

さうです私の手は

柔かく弱󠄁々しい

だが私の

手がどんなに

鬪つてゐるか

あなたには見えない

お父󠄁さん、その手が

夜といはず 晝と

 いはず

石のやうなものに

叩かれ

叩かれどうして

どんなに血みどろに

 なり

くたくたに疲れて

 ゐるか

あなたには見えない

あなたの手を叩いたものが

何であつたか

あなたによく


解らなかつたやうに

わたしにはわたしの

手を叩いて來るものが

かよく解らない

お父󠄁さん やがて

私のこの血みどろの

手も

あなたのその手のやうに

こちこちになり

ひ割れて

冬󠄁の陽に

かじかむときが

 來るかも知れません