入日
穗麥の前󠄁の
少女が
わたしの方に手をあげた
わたしを招(よ)んだと思つたら
さうぢやなかつた わたしの
ずつと背ろのもう一人の少女をよんだのだ
それから急󠄁にうつむいた
わたしにはにかむのだと思つたら
わたしのずつとうしろの
金の入日がまぶしかつたのだ
厩の匂ふくれの徑
わたしは疲れて步いてゐた