あと
靴匠が
靴を仕上げて
その膝から革屑を
拂ひ落すやうに
わたしは
詩を書き終󠄁へて
詩想の屑をはきすてる
この淸潔な
虛脫のこころに
香の高い茶を一ぱいくれ
あちらの花󠄁を
持つて來てくれ
仲間はづれの
小さい子が
じぶんのうちの
背戶口で
貝殼笛を吹くやうに
私は
げんじつを逃󠄁げて來て
こころの裏口で
詩をあそぶ