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井戶と私が

日に照らされてゐた

光つて何かとんで來た

ブーンといふ音󠄁も光つて

こぼれた淸水のへりにとまつた

蜂だ

蜂は水をのみに來た

はるかなかすんだ距離を

彼は別の世界から來た

つまりお伽噺のくにから

蟹と栗と臼の消󠄁息を

もたらして

だが小さい體には大きいメセーヂは

はこべない

蜂が光つて去つたら

私はふたゝび井戶と

殘された

むなしく晝に飽󠄁きながら


無題『生活は日に一頁づつ』


生活は日に一頁づつ

繰つてゆく

この書物に今は

飽󠄁いてしまつた