しゞみ蝶〈A〉
紫蘇の葉渡る
朝󠄁風に
しゞみ蝶々は
生(ア)れたれど
しゞみの色の
淡さには
(せんもなや)
紫蘇のさやぎに
消󠄁えにけり
薔薇(ウバラ)の
薔薇の朝󠄁露ぞ
かはかぬひまに
詩(ウタ)作ると少女等が
叢にひそめば
街のざはめきは
ここにとゞかず
やよ少女等 ひそやかに
かゝるひとゝき
いましらが淸(スガ)しき想ひと
わがくたぶれし乏しきゆめと
朝󠄁風に流さむ
やよ流さむ
祭も近󠄁き薔薇のきはに