Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-1-DaiNipponTosho-1981.djvu/116

このページは検証済みです

見えつらむ

煙草せんもなきか

これにて買へと

わが母はかたじけなくも

のたまひき



歸鄕


古き外套の襟たて

面うちかくして

ふるさとに入れば

ふるさとは老ひたる病牛ヤミウシのごと

冬︀の日はさびしく照らし

家々に菊はうらがれ

鳥のみたけりなけども

人の音󠄁ひたに絕えたり

人々よ正月は來むに

などて餅をば搗かざるや

子供らよ春は近󠄁きに

などて凧をばあげざるや

わが心破れいたつき