し、されど昔も今も世人の此垣內に迷入て、得出離れぬこそくちをしけれ、大御國の說は、神代より傳へ來しまゝにして、いさゝかも人のさかしらを加へざる故に、うはベはたゞ淺々と聞ゆれども、實にはそこひもなく、人の智の得測度ぬ、深き妙なる理のこもれるを、其意をえしらぬは、かの漢國書の垣內にまよひ居る故なり、此をいではなれざらむほどは、たとひ百年千年の力をつくして、物學ぶとも、道のためには、何の益なきいたづらわざならむかし、但し古書は、みな漢文にうつして書たれば、彼國のことも、一わたりは知てあるべく、文字のことなどしらむためには、漢籍をも、いとまあらば學びつべし、皇國魂の定まりて、たゞよはぬうへにては、害はなきものぞ、
故おのが身々に受行ふべき神道の敎などいひて、くさ〴〵ものすなるも、みなかの道々のをしへごとをうらやみて、近き世にかまへ出たるわたくしごとなり、
こと〴〵しく祕說など云て、人えりして密に傳ふる類など、皆後世に僞造れることぞ、凡てよきことはいかにも〳〵世に廣まるこそよけれ、ひめかくして、あ