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四 假出獄取締規則ニ違背シタルトキ
假出獄ノ處分ヲ取消シタルトキハ出獄中ノ日數ハ刑期ニ算入セス
第三十條
拘留ニ處セラレタル者ハ情狀ニ因リ何時ニテモ行政官廳ノ處分ヲ以テ假ニ出場ヲ許スコトヲ得
罰金又ハ科料ヲ完納スルコト能ハサルニ因リ留置セラレタル者亦同シ
第六章 時効
第三十一條
刑ノ言渡ヲ受ケタル者ハ時効ニ因リ其執行ノ免除ヲ得
第三十二條
時効ハ刑ノ言渡確定シタル後左ノ期間內其執行ヲ受ケサルニ因リ完成ス
一 死刑ハ三十年
二 無期ノ懲役又ハ禁錮ハ二十年
三 有期ノ懲役又ハ禁錮ハ十年以上ハ十五年、三年以上ハ十年、三年未滿ハ五年
四 罰金ハ三年
五 拘留、科料及ヒ沒收ハ一年
第三十三條
時効ハ法令ニ依リ執行ヲ猶豫シ又ハ之ヲ停止シタル期間內ハ進行セス
第三十四條
時効ハ刑ノ執行ニ付キ犯人ヲ逮捕シタルニ因リ之ヲ中斷ス
罰金、科料及ヒ沒收ノ時効ハ執行行爲ヲ爲シタルニ因リ之ヲ中斷ス
第七章 犯罪ノ不成立及ヒ刑ノ減免
第三十五條
法令又ハ正當ノ業務ニ因リ爲シタル行爲ハ之ヲ罰セス
第三十六條
急迫不正ノ侵害ニ對シ自己又ハ他人ノ權利ヲ防衞スル爲メ已ムコトヲ得サルニ出テタル行爲ハ之ヲ罰セス
防衞ノ程度ヲ超エタル行爲ハ情狀ニ因リ其刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第三十七條
自己又ハ他人ノ生命、身體、自由若クハ財產ニ對スル現在ノ危難ヲ避クル爲メ已ムコトヲ得サルニ出テタル行爲ハ其行爲ヨリ生シタル害其避ケントシタル害ノ程度ヲ超エサル場合ニ限リ之ヲ罰セス但其程度ヲ超エタル行爲ハ情狀ニ因リ其刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
前項ノ規定ハ業務上特別ノ義務アル者ニハ之ヲ適用セス
第三十八條
罪ヲ犯ス意ナキ行爲ハ之ヲ罰セス但法律ニ特別ノ規定アル場合ハ此限ニ在ラス
罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ從テ處斷スルコトヲ得ス
法律ヲ知ラサルヲ以テ罪ヲ犯ス意ナシト爲スコトヲ得ス但情狀ニ因リ其刑ヲ減輕スルコトヲ得
第三十九條
心神喪失者ノ行爲ハ之ヲ罰セス
心神耗弱者ノ行爲ハ其刑ヲ減輕ス
第四十條
瘖啞者ノ行爲ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減輕ス
第四十一條
十四歲ニ滿タサル者ノ行爲ハ之ヲ罰セス
第四十二條
罪ヲ犯シ未タ官ニ發覺セサル前自首シタル者ハ其刑ヲ減輕スルコトヲ得
吿訴ヲ待テ論ス可キ罪ニ付キ吿訴權ヲ有スル者ニ首服シタル者亦同シ
第八章 未遂罪
第四十三條
犯罪ノ實行ニ著手シ之ヲ遂ケサル者ハ其刑ヲ減輕スルコトヲ得但自己ノ意思ニ因リ之ヲ止メタルトキハ其刑ヲ減輕又ハ免除ス
第四十四條
未遂罪ヲ罰スル場合ハ各本條ニ於テ之ヲ定ム
第九章 倂合罪
第四十五條
確定裁判ヲ經サル數罪ヲ倂合罪トス若シ或罪ニ付キ確定裁判アリタルトキハ止タ其罪ト其裁判確定前ニ犯シタル罪トヲ倂合罪トス
第四十六條
倂合罪中其一罪ニ付キ死刑ニ處ス可キトキハ他ノ刑ヲ科セス但沒收ハ此限ニ在ラス
其一罪ニ付キ無期ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス可キトキ亦他ノ刑ヲ科セス但罰金、科料及ヒ沒收ハ此限ニ在ラス
第四十七條
倂合罪中二個以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス可キ罪アルトキハ其最モ重キ罪ニ付キ定メタル刑ノ長期ニ其半數ヲ加ヘタルモノヲ以テ長期トス但各罪ニ付キ定メタル刑ノ長期ヲ合算シタルモノニ超ユルコトヲ得ス
第四十八條
罰金ト他ノ刑トハ之ヲ倂科ス但第四十六條第一項ノ場合ハ此限ニ在ラス
二個以上ノ罰金ハ各罪ニ付キ定メタル罰金ノ合算額以下ニ於テ處斷ス
第四十九條
倂合罪中重キ罪ニ沒收ナシト雖モ他ノ罪ニ沒收アルトキハ之ヲ附加スルコトヲ得
二個以上ノ沒收ハ之ヲ倂科ス
第五十條
倂合罪中既ニ裁判ヲ經タル罪ト未タ裁判ヲ經サル罪トアルトキハ更ニ裁判ヲ經サル罪ニ付キ處斷ス
第五十一條
倂合罪ニ付キ二個以上ノ裁判アリタルトキハ其刑ヲ倂セテ之ヲ執行ス但死刑ヲ執行ス可キトキハ沒收ヲ除ク外他ノ刑ヲ執行セス無期ノ懲役又ハ禁錮ヲ執行ス可キトキハ罰金、科料及ヒ沒收ヲ除ク外他ノ刑ヲ執行セス有期ノ懲役又ハ禁錮ノ執行ハ其最モ重キ罪ニ付キ定メタル刑ノ長期ニ其半數ヲ加ヘタルモノニ超ユルコトヲ得ス
第五十二條
倂合罪ニ付キ處斷セラレタル者或罪ニ付キ大赦ヲ受ケタル場合ニ於テハ特ニ大赦ヲ受ケサル罪ニ付キ刑ヲ定ム
第五十三條
拘留又ハ科料ト他ノ刑トハ之ヲ倂科ス但第四十六條ノ場合ハ此限ニ在ラス
二個以上ノ拘留又ハ科料ハ之ヲ倂科ス
第五十四條
一個ノ行爲ニシテ數個ノ罪名ニ觸レ又ハ犯罪ノ手段若クハ結果タル行爲ニシテ他ノ罪名ニ觸ルルトキハ其最モ重キ刑ヲ以テ處斷ス
第四十九條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ適用ス
第五十五條
連續シタル數個ノ行爲ニシテ同一ノ罪名ニ觸ルルトキハ一罪トシテ之ヲ處斷ス
第十章 累犯
第五十六條
懲役ニ處セラレタル者其執行ヲ終リ又ハ執行ノ免除アリタル日ヨリ五年內ニ更ニ罪ヲ犯シ有期懲役ニ處ストキハ之ヲ再犯トス
懲役ニ該ル罪ト同質ノ罪ニ因リ死刑ニ處セラレタル者其執行ノ免除アリタル日ヨリ又ハ減刑ニ因リ懲役ニ減輕セラレ其執行ヲ終リ若クハ執行ノ免除アリタル日ヨリ前項ノ期間內ニ更ニ罪ヲ犯シ有期懲役ニ處ス可キトキ亦同シ
倂合罪ニ付キ處斷セラレタル者其倂合罪中懲役ニ處ス可キ罪アリタルトキハ其罪最重ノモノニ非スト雖モ再犯例ノ適用ニ付テハ懲役ニ處セラレタルモノト看做ス
第五十七條
再犯ノ刑ハ其罪ニ付キ定メタル懲役ノ長期ノ二倍以下トス
第五十八條
裁判確定後再犯者タルコトヲ發見シタルトキハ前條ノ規定ニ從ヒ加重ス可キ刑ヲ定ム
懲役ノ執行ヲ終リタル後又ハ其執行ノ免除アリタル後發見セラレタル者ニ付テハ前項ノ規定ヲ適用セス
第五十九條
三犯以上ノ者ト雖モ仍ホ再犯ノ例ニ同シ
第十一章 共犯
第六十條
二人以上共同シテ犯罪ヲ實行シタル者ハ皆正犯トス
第六十一條
人ヲ敎唆シテ犯罪ヲ實行セシメタル者ハ正犯ニ準ス
敎唆者ヲ敎唆シタル者亦同シ
第六十二條
正犯ヲ幇助シタル者ハ從犯トス
從犯ヲ敎唆シタル者ハ從犯ニ準ス
第六十三條
從犯ノ刑ハ正犯ノ刑ニ照シテ減輕ス
第六十四條
拘留又ハ科料ノミニ處ス可キ罪ノ敎唆者及ヒ從犯ハ特別ノ規定アルニ非サレハ之ヲ罰セス
第六十五條
犯人ノ身分ニ因リ構成ス可キ犯罪行爲ニ加功シタルトキハ其身分ナキ者ト雖モ仍ホ共犯トス
身分ニ因リ特ニ刑ノ輕重アルトキハ其身分ナキ者ニハ通常ノ刑ヲ科ス
第十二章 酌量減輕
第六十六條
犯罪ノ情狀憫諒ス可キモノハ酌量シテ其刑ヲ減輕スルコトヲ得
第六十七條
法律ニ依リ刑ヲ加重又ハ減輕スル場合ト雖モ仍ホ酌量減輕ヲ爲スコトヲ得
第十三章 加減例
第六十八條
法律ニ依リ刑ヲ減輕ス可キ一個又ハ數個ノ原由アルトキハ左ノ例ニ依ル
一 死刑ヲ減輕ス可キトキハ無期又ハ十年以上ノ懲役若クハ禁錮トス
二 無期ノ懲役又ハ禁錮ヲ減輕ス可キトキハ七年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮トス
三 有期ノ懲役又ハ禁錮ヲ減輕ス可キトキハ其刑期ノ二分ノ一ヲ減ス
四 罰金ヲ減輕ス可キトキハ其金額ノ二分ノ一ヲ減ス
五 拘留ヲ減輕ス可キトキハ其長期ノ二分ノ一ヲ減ス
六 科料ヲ減輕ス可キトキハ其多額ノ二分ノ一ヲ減ス
第六十九條
法律ニ依リ刑ヲ減輕ス可キ場合ニ於テ各本條ニ二個以上ノ刑名アルトキハ先ツ適用ス可キ刑ヲ定メ其刑ヲ減輕ス
第七十條
懲役、禁錮又ハ拘留ヲ減輕スルニ因リ一日ニ滿タサル時間ヲ剩ストキハ之ヲ除棄ス
罰金又ハ科料ヲ減輕スルニ因リ一錢ニ滿タサル金額ヲ剩ストキ亦同シ
第七十一條
酌量減輕ヲ爲ス可キトキ亦第六十八條及ヒ前條ノ例ニ依ル
第七十二條
同時ニ刑ヲ加重減輕ス可キトキハ左ノ順序ニ依ル
一 再犯加重
二 法律上ノ減輕
三 倂合罪ノ加重
四 酌量減輕
第二編 罪
第一章 皇室ニ對スル罪
第七十三條
天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ對シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ處ス
第七十四條
天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ對シ不敬ノ行爲アリタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
第七十五條
皇族ニ對シ危害ヲ加ヘタル者ハ死刑ニ處シ危害ヲ加ヘントシタル者ハ無期懲役ニ處ス
第七十六條
皇族ニ對シ不敬ノ行爲アリタル者ハ二月以上四年以下ノ懲役ニ處ス
第二章 內亂ニ關スル罪
第七十七條
政府ヲ顚覆シ又ハ邦土ヲ僣竊シ其他朝憲ヲ紊亂スルコトヲ目的トシテ暴動ヲ爲シタル者ハ內亂ノ罪ト爲シ左ノ區別ニ從テ處斷ス
一 首魁ハ死刑又ハ無期禁錮ニ處ス