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  第十六章 通貨僞造ノ罪

  第十七章 文書僞造ノ罪

  第十八章 有價證券僞造ノ罪

  第十九章 印章僞造ノ罪

  第二十章 僞證ノ罪

  第二十一章 誣吿ノ罪

  第二十二章 猥褻、姦淫及ヒ重婚ノ罪

  第二十三章 賭博及ヒ富籖ニ關スル罪

  第二十四章 禮拜所及ヒ墳墓ニ關スル罪

  第二十五章 瀆職ノ罪

  第二十六章 殺人ノ罪

  第二十七章 傷害ノ罪

  第二十八章 過失傷害ノ罪

  第二十九章 墮胎ノ罪

  第三十章 遺棄ノ罪

  第三十一章 逮捕及ヒ監禁ノ罪

  第三十二章 脅迫ノ罪

  第三十三章 略取及ヒ誘拐ノ罪

  第三十四章 名譽ニ對スル罪

  第三十五章 信用及ヒ業務ニ對スル罪

  第三十六章 竊盜及ヒ强盜ノ罪

  第三十七章 詐欺及ヒ恐喝ノ罪

  第三十八章 橫領ノ罪

  第三十九章 贓物ニ關スル罪

  第四十章 毀棄及ヒ隱匿ノ罪

刑法
第一編 總則
第一章 法例
第一條
本法ハ何人ヲ問ハス帝國內ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ適用ス
帝國外ニ在ル帝國船舶ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ付キ亦同シ
第二條
本法ハ何人ヲ問ハス帝國外ニ於テ左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ適用ス
一 第七十三條乃至第七十六條ノ罪
二 第七十七條乃至第七十九條ノ罪
三 第八十一條乃至第八十九條ノ罪
四 第百四十八條ノ罪及ヒ其未遂罪
五 第百五十四條、第百五十五條、第百五十七條及ヒ第百五十八條ノ罪
六 第百六十二條及ヒ第百六十三條ノ罪
七 第百六十四條乃至第百六十六條ノ罪及ヒ第百六十四條第二項、第百六十五條第二項、第百六十六條第二項ノ未遂罪
第三條
本法ハ帝國外ニ於テ左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル帝國臣民ニ之ヲ適用ス
一 第百八條、第百九條第一項ノ罪、第百八條、第百九條第一項ノ例ニ依リ處斷ス可キ罪及ヒ此等ノ罪ノ未遂罪
二 第百十九條ノ罪
三 第百五十九條乃至第百六十一條ノ罪
四 第百六十七條ノ罪及ヒ同條第二項ノ未遂罪
五 第百七十六條乃至第百七十九條、第百八十一條及ヒ第百八十四條ノ罪
六 第百九十九條、第二百條ノ罪及ヒ其未遂罪
七 第二百四條及ヒ第二百五條ノ罪
八 第二百十四條乃至第二百十六條ノ罪
九 第二百十八條ノ罪及ヒ同條ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル罪
十 第二百二十條及ヒ第二百二十一條ノ罪
十一 第二百二十四條乃至第二百二十八條ノ罪
十二 第二百三十條ノ罪
十三 第二百三十五條乃至第二百三十六條、第二百三十八條乃至第二百四十一條及ヒ第二百四十三條ノ罪
十四 第二百四十六條乃至第二百五十條ノ罪
十五 第二百五十三條ノ罪
十六 第二百五十六條第二項ノ罪
第四條
本法ハ帝國外ニ於テ左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル帝國ノ公務員ニ之ヲ適用ス
一 第百一條ノ罪及ヒ其未遂罪
二 第百五十六條ノ罪
三 第百九十三條、第百九十五條第二項、第百九十七條ノ罪及ヒ第百九十五條第二項ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル罪
第五條
外國ニ於テ確定裁判ヲ受ケタル者ト雖モ同一行爲ニ付キ更ニ處罰スルコトヲ妨ケス但犯人既ニ外國ニ於テ言渡サレタル刑ノ全部又ハ一部ノ執行ヲ受ケタルトキハ刑ノ執行ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第六條
犯罪後ノ法律ニ因リ刑ノ變更アリタルトキハ其輕キモノヲ適用ス
第七條
本法ニ於テ公務員ト稱スルハ官吏、公吏、法令ニ依リ公務ニ從事スル議員、委員其他ノ職員ヲ謂フ
公務所ト稱スルハ公務員ノ職務ヲ行フ所ヲ謂フ
第八條
本法ノ總則ハ他ノ法令ニ於テ刑ヲ定メタルモノニ亦之ヲ適用ス但其法令ニ特別ノ規定アルトキハ此限ニ在ラス
第二章 刑
第九條
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及ヒ科料ヲ主刑トシ沒收ヲ附加刑トス
第十條
主刑ノ輕重ハ前條記載ノ順序ニ依ル但無期禁錮ト有期懲役トハ禁錮ヲ以テ重シトシ有期禁錮ノ長期有期懲役ノ長期ノ二倍ヲ超ユルトキハ禁錮ヲ以テ重シトス
同種ノ刑ハ長期ノ長キモノ又ハ多額ノ多キモノヲ以テ重シトシ長期又ハ多額ノ同シキモノハ其短期ノ長キモノ又ハ寡額ノ多キモノヲ以テ重シトス
二個以上ノ死刑又ハ長期若クハ多額及ヒ短期若クハ寡額ノ同シキ同種ノ刑ハ犯情ニ依リ其輕重ヲ定ム
第十一條
死刑ハ監獄內ニ於テ絞首シテ之ヲ執行ス
死刑ノ言渡ヲ受ケタル者ハ其執行ニ至ルマテ之ヲ監獄ニ拘置ス
第十二條
懲役ハ無期及ヒ有期トシ有期懲役ハ一月以上十五年以下トス
懲役ハ監獄ニ拘置シ定役ニ服ス
第十三條
禁錮ハ無期及ヒ有期トシ有期禁錮ハ一月以上十五年以下トス
禁錮ハ監獄ニ拘置ス
第十四條
有期ノ懲役又ハ禁錮ヲ加重スル場合ニ於テハ二十年ニ至ルコトヲ得之ヲ減輕スル場合ニ於テハ一月以下ニ降スコトヲ得
第十五條
罰金ハ二十圓以上トス但之ヲ減輕スル場合ニ於テハ二十圓以下ニ降スコトヲ得
第十六條
拘留ハ一日以上三十日未滿トシ拘留場ニ拘置ス
第十七條
科料ハ十錢以上二十圓未滿トス
第十八條
罰金ヲ完納スルコト能ハサル者ハ一日以上一年以下ノ期間之ヲ勞役場ニ留置ス
科料ヲ完納スルコト能ハサル者ハ一日以上三十日以下ノ期間之ヲ勞役場ニ留置ス
科料ヲ倂科シタル場合ト雖モ留置ノ期間ハ六十日ヲ超ユルコトヲ得ス
罰金又ハ科料ノ言渡ヲ爲ストキハ其言渡ト共ニ罰金又ハ科料ヲ完納スルコト能ハサル場合ニ於ケル留置ノ期間ヲ定メ之ヲ言渡ス可シ
罰金ニ付テハ裁判確定後三十日內科料ニ付テハ裁判確定後十日內ハ本人ノ承諾アルニ非サレハ留置ノ執行ヲ爲スコトヲ得ス
罰金又ハ科料ノ言渡ヲ受ケタル者其幾分ヲ納ムルトキハ罰金又ハ科料ノ金額ト留置日數トノ割合ニ從ヒ其金額ニ相當スル日數ヲ控除シテ之ヲ留置ス
留置期間內罰金又ハ科料ヲ納ムルトキハ前項ノ割合ヲ以テ殘日數ニ充ツ
留置一日ノ割合ニ滿タサル金額ハ之ヲ納ムルコトヲ得ス
第十九條
左ニ記載シタル物ハ之ヲ沒收スルコトヲ得
一 犯罪行爲ヲ組成シタル物
二 犯罪行爲ニ供シ又ハ供セントシタル物
三 犯罪行爲ヨリ生シ若クハ之ニ因リ得タル物
沒收ハ其物犯人以外ノ者ニ屬セサルトキニ限ル
第二十條
拘留又ハ科料ノミニ該ル罪ニ付テハ特別ノ規定アルニ非サレハ沒收ヲ科スルコトヲ得ス但第十九條第一項第一號ニ記載シタル物ノ沒收ハ此限ニ在ラス
第二十一條
未決勾留ノ日數ハ其全部又ハ一部ヲ本刑ニ算入スルコトヲ得
第三章 期間計算
第二十二條
期間ヲ定ムルニ月又ハ年ヲ以テシタルトキハ曆ニ從ヒテ之ヲ計算ス
第二十三條
刑期ハ裁判確定ノ日ヨリ起算ス
拘禁セラレサル日數ハ裁判確定後ト雖モ刑期ニ算入セス
第二十四條
受刑ノ初日ハ時間ヲ論セス全一日トシテ之ヲ計算ス時効期間ノ初日亦同シ
放免ハ刑期終了ノ翌日ニ於テ之ヲ行フ
第四章 刑ノ執行猶豫
第二十五條
左ニ記載シタル者二年以下ノ懲役若クハ禁錮ノ言渡ヲ受ケタルトキハ情狀ニ因リ裁判確定ノ日ヨリ一年以上五年以下ノ期間內其執行ヲ猶豫スルコトヲ得
一 前ニ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルコトナキ者
二 前ニ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルコトアルモ其執行ヲ終リ又ハ其執行ノ免除ヲ得タル日ヨリ七年以內ニ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルコトナキ者
第二十六條
左ニ記載シタル場合ニ於テハ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ取消ス可シ
一 猶豫ノ期間內更ニ罪ヲ犯シ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
二 猶豫ノ言渡前ニ犯シタル他ノ罪ニ付キ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
三 前條第二號ニ記載シタル者ヲ除ク外猶豫ノ言渡前他ノ罪ニ付キ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルコト發覺シタルトキ
第二十七條
刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ取消サルルコトナクシテ猶豫ノ期間ヲ經過シタルトキハ刑ノ言渡ハ其効力ヲ失フ
第五章 假出獄
第二十八條
懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル者改悛ノ狀アルトキハ有期刑ニ付テハ其刑期三分ノ一無期刑ニ付テハ十年ヲ經過シタル後行政官廳ノ處分ヲ以テ假ニ出獄ヲ許スコトヲ得
第二十九條
左ニ記載シタル場合ニ於テハ假出獄ノ處分ヲ取消スコトヲ得
一 假出獄中更ニ罪ヲ犯シ罰金以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
二 假出獄前ニ犯シタル他ノ罪ニ付キ罰金以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
三 假出獄前他ノ罪ニ付キ罰金以上ノ刑ニ處セラレタル者ニシテ其刑ノ執行ヲ爲ス可キトキ