このページは検証済みです
成ルニ付手段盡テ予ガ名ヲ聞ヲヨヒ何トソ上京シテ療治
ヲ受ントテ遂自身ヨリ発起シテ來レル由也扨右上京モ甚
六カシキコトニテ我門前ヨリ蒲團ニノセ目ヲ褁テソロ〳〵
ト船塲マテカキ來リ舟ニノセ舟ヲヤルコトモ随分サワガ
シカラヌヤウニシテヤウヤク三日餘ニシテ伏見ヘ着其ヨリ
大ナル乗輿ニノセテ又一日餘ニシテ木屋町二条マテ來リ
コヽニテ座シキヲ借リ投宿シ其翌朝予ヲ招クニヨリ行
テコレヲ見ルニ其人ハ若キ後家ニテ餘ホド体モ大ナル
女也其故ダキカヽヘモ一通ニテハナリカタキト見ヘテ
体大ニシテ腕丈夫ナル女四人年バイナル手代両人付添ヘ
リ病人ハフラ付故御免下サルベシ此マヽ挨拶スルトテ
蒲團ヲ高ク重子タル上ニ高ク枕シテ臥シタリシハラクシテ
トクトコレヲ診察スルニ顔色脉腹トモニ少シモ衰ヘタル
様子ナク一体ツヤ〳〵シクヨク肥タリ其ヨリ又自身ナガ
ナガ困苦セルコト及大坂ニテ諸醫ノ手ヲ経レトモ治セサリ
シコト并予カ治ヲ受シガ為ニ四日半ヲ経テ上京シタル趣
ドモヲ述ヘ且大坂ノ諸醫ノ医案ヲ詳記セル一巻ヲ出セ
ル故取テコレヲ見ルニ或内分ノ弱キニヨルト云或血分
ノ病也ト云或癎症也ト云或痰飲ノナス處也ト云ヘリト
クト見終リテ随分予カ療治ヲ受タキノソミナラハ治ヲ
