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て直接に其の權能を有するものでありまして、皇帝は實に原始的直接機關であるのであります。これに依つて滿洲國の君主制が確立せられたのであります。

(イ)皇帝

 皇帝は國家の最高中樞の機關でありまして、國家の統治權は其の源泉を皇帝より發し、皇帝は組織團体たる國家の保有する統治權を總攬するのであります。

 組織法第一條に「滿洲帝國は皇帝之を統治す」とあり、又三條に「皇帝は國の元首にして統治權を總攬し本法の條規に依り之を行ふ」とあるは即ち此の事を規定して居るのであります。

 皇帝は立法、司法、行政の三權を掌握して居るのでありますが之は此の三權行使につき總てを親裁せられて居ると云ふ譯ではありません。

 先づ立法權は組織法第五條に明かなる如く立法院の翼贊に依つて行ひ、又司法權は其の第六條に明定する所に依り法院をして之を行はしむる事になつて居ります。

 只行政權は原則として皇帝の親裁せらるべき所でありますが、之も皇帝の親裁に依つて行はるるものは、只其の中重要なる國務に限られ他は通常國務院に委任して行はしむる事になつて居ります。

 皇帝の親裁事項として組織法に明示されて居るものは凡そ次の如きものであります。