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ん。

¹⁹⁹ 安樂（あんらく）に住（ぢゆう）せん、欲念（よくねん）ある人人（ひとびと）の中（うち）にて欲念（よくねん）なく、欲念（よくねん）ある輩（ともがら）の中（うち）に、欲念（よくねん）なくして安樂（あんらく）に住（ぢゆう）せん。

²⁰⁰ 安樂（あんらく）に住（ぢゆう）せん、此（こ）の我等（われら）には我有（がう）あることなし、光音（くわうおん）天人（てんにん）の如（ごと）く、喜悅（きえつ）を食（じき）とせん。

²⁰¹ 勝（か）ちては怨（うらみ）を得（え）、負（ま）けては起居（ききよ）苦（く）なり。心（こゝろ）靜（じやく）なるものは勝負（しようぶ）共（とも）に擲（なげう）ちて、起居（ききよ）安樂（あんらく）なり。

²⁰² 貪（とん）の如（ごと）き火（ひ）あるなく、瞋（しん）の如（ごと）き罪（つみ）あるなし、⁽¹⁾蘊集（をんしふ）の如（ごと）き苦（く）あるなく、寂滅（じやくめつ）に勝（まさ）れる樂（らく）あるなし。

²⁰³ 飢餓（きが）は最大（さいだい）の病（やまひ）、諸蘊（しよをん）は最極（さいごく）の苦（く）なり、之（これ）を實（じつ）の如（ごと）くに知（し）れば、最勝（さいしよう）の安樂（あんらく）・涅槃（ねはん）〔を得（う）〕。

²⁰⁴ 無病（むびやう）は最上（さいじやう）の利（り）、知足（ちそく）は最上（さいじやう）の財（ざい）なり、信賴（しんらい）は最上（さいじやう）の親族（しんぞく）にして、涅槃（ねはん）は最勝（さいしよう）の安樂（あんらく）なり。

²⁰⁵ 獨處（どくしよ）の妙味（めうみ）と寂靜（じやくじやう）の妙味（めうみ）とを味（あぢは）ひ、法悅（ほふえつ）の妙味（めうみ）を吸（す）うて怖畏（ふゐ）もなく、又（また）惡（あく）もなし。

²⁰⁶ 聖者（しやうしや）を見（み）るは好（よ）く、同（おな）じく棲（す）むは常（つね）に樂（らく）なり、愚者（ぐしや）を見（み）ざれば常（つね）に快（こころよ）からん。

²⁰⁷ 愚人（ぐじん）と共（とも）に道（みち）行（ゆ）くものには長（なが）き憂（うれひ）あり、愚者（ぐしや）と共（とも）に住（ぢゆう）するの苦（く）なるは、敵（てき）と〔同（おな）じく住（ぢゆう）するの〕常（つね）に〔苦（く）なる〕が如（ごと）し、賢者（けんしや）は同住（どうぢゆう）して樂（たの）しきものにして、猶（な）ほ親緣（しんねん）と合會（がふゑ）するの樂（たの）しきが如（ごと）し。

²⁰⁸ されば賢者（けんしや）と、智者（ちしや）と、多聞（たもん）の士（し）と、重擔（ぢゆうたん）を負（お）ひ、禁戒（きんかい）ある聖者（しやうしや）、斯（かく）の如（ごと）きの善士（ぜんし）、上智（じやうち）の人（ひと）に〔よること〕、月（つき）の星道（せいだう）によるが如（ごと）くせよ。

(1) 五蘊の合會して成れる此の身體を云ふ。次偈に諸蘊と云へるも同じ。

愛樂品（あいげうほん）第（だい）十六

²⁰⁹ 非處（ひしよ）に就（つ）きて是處（ぜしよ）に就（つ）かず、利（り）を棄（す）てて、愛樂（あいげう）を取（と）るものは、是處（ぜしよ）に就（つ）きたる人（ひと）を羨（うらや）むに至（いた）る。