187
天の諸欲に對しても、尙ほ欲念を起さず、覺王の弟子は諸愛を盡すを樂む。
188
人人恐怖の念に迫られて、山林園樹制多に歸依するもの多し。
189
されど之は安隱の依所にあらず、無上の依所にあらず、この依所に歸依して、一切の苦より脫るることなし。
190
佛と、法と、僧とに歸依するもの、彼は勝智を以て、四種の聖諦を見る。
191
苦と、苦の起因と、苦の度脫と、苦の滅盡に達する賢聖八種道と、
192
是れ安隱の依所、是れ無上の依所なり、此の依所に歸依して、一切苦より脫るべし。
193
尊貴の人は得難し、彼は各處に生ぜず、此の勇者の生ずる處、慶福其の族に至る。
194
諸佛の出世は樂しく、妙法を說くは樂し、僧衆の和合は樂しく、和合するものの修行は樂し。
195 196
あらゆる迷妄に勝ち、憂と苦とを超えて、應供の德ある佛又は〔佛〕弟子を供養するもの、斯の如き得寂・離怖の人を供養するものの功德は、何人も之を算ふべからず。
(1) 知覺の對境限りなきの意にて無限の境界を知覺し得るの意。 (2) 七佛通誠の偈として知らるる有名なる偈なり。 (3) 比丘比丘尼の大戒を指す。 (4) 苦集滅道の四諦なり。
安樂品第十五
197
安樂に住せん、怨念ある人人のうちにありて、怨念なく、怨念ある輩の中に、怨念なくして、安樂に住せん。
198
安樂に住せん、煩惱ある人人の中にありて、煩惱なく、煩惱ある輩のうちに、煩惱なくして安樂に住せ