に據りて謗る人は、(1)葦草の果の、己を滅すために實るが如し。
165
自ら惡を作せば自ら穢れ、自ら惡を作さざれば自ら淸し、淨と不淨と共に己にあり、自ら他を淸くすること能はず。
166
他人の務は大なりとも、爲に己の務を忘るることなかれ、己の務を辨して後、己の務に專心なるべし。
(1) 葦は花を著け實を結べば自ら死するなり。
世閒品第十三
167
卑き法を奉ぜざれ、放逸の徒と共に棲まざれ、邪見に隨はざれ、世事を增長せしめざれ。
168
起て、放逸なるなかれ、善行の法を修せよ、隨法行の人は樂く臥す、今世にも來世にも。
169
善行の法を修して、惡行〔の法〕を修せざれ、隨法行の人は樂く臥す、今世にも來世にも。
170
泡沫の如くに見よ、陽炎の如くに見よ、斯の如く世界を觀るものは、死王之を見ること能はず。
171
飾ありて、王車に似たる此の世界を來り見よ、愚者は之に迷へども、智者は之に著することなし。
172
先に怠りて、後に怠らざるもの、彼此の世界を照すこと、雲を離れたる月の如し。
173
人の作したる惡業、後、善の爲めに覆はるれば、此の人、世を照すこと、雲を離れたる月の如し。
174
此の世界は、暗黑にして、觀察〔の力〕あるものは、少し、網を離れたる鳥の如くに、天に昇るものは少し。
175
鴻雁は日の道を行き、神力あるものは空を行く、賢者は、魔王と其の眷屬とを倂せ破りて、世を離脫するなり。