彼は婆羅門、彼は沙門、彼は比丘なり。
143
慚恥によりて制せられて、〔他の〕批難を意とせざること、良馬の鞭を〔意とせざる〕が如くなるもの、〔斯の如きもの〕誰か此の世にありや。
144
鞭にて打たれたる良馬の如く、汝等も亦專心・銳意なれ、信心・持戒・精勤・禪定・正決斷によりて、汝等は明と行とを具し、正念を有し、此の大いなる苦惱に勝たん。
145
(3)渠工は水を導き、箭匠は箭を矯む、木工は材を曲げ、賢者は己を調ふ。
(1) 地獄を云ふ。 (2) 原意は刀杖を措く。 (3) 第八〇偈に同じ。
老衰品第十一
146
〔世は〕常に〔慾火に〕燒かるるに、何の笑ぞ、何の歡喜ぞ、〔汝等は〕黑闇に覆はるるに、何故に〔智〕火を求めざる。
147
飾れる〔此の〕形體を見よ、合會して成れる腐壞物の塊、衆病を擁し、種種に測量し、堅實なく、安住なきなり。
148
此の形色や老朽し、衆病の樓所たり、壞るべきものなり、臭穢の身は損すべく、命は死に終る。
149
秋の日に棄てられたる葫蘆の如き、此等灰白の骨行を見て、何の喜樂ぞ。
150
骨行の都市を建て、肉と血とに塗れり、此處に老と、死と、慢と、覆とを藏す。
151
能く飾りたる王車も古び、身體も亦た老に至る、賢人の法は老ゆることなし、賢人は、賢人に法を傅ふるなり。
152
此の寡聞の人は犢牛の如く老ゆ、彼の肉身は增せども、彼の智慧は加はるることなし。