一人の身を修めたるものを供養すること頃刻ならば、此の供養こそ、彼の百年の焚祀に勝りたれ。
108
供犧や、焚祀や、此の世に福報を望めるもの、終歲之を行ふとも、總て其の〔功德〕直行の人を敬禮するの四分の一にだも當らず。
109
敬禮を以て習となし、常に上位を尊重せる人には、四種の法增長す壽と色と樂と力と。
110
人若し生くること百年ならんとも、汙戒にして定なくんば、戒を具し、禪思あるものの、一日生くるに如かず。
111
人若し生くること百年ならんとも、劣慧にして定なくんば、慧を具し、禪思あるものの、一日生くるに如かず。
112
人若し生くること百年ならんとも、怠惰にして精勤足らずんば、堅き精勤あるものの、一日生くるに如かず。
113
人若し生くること百年ならんとも、(1)起滅を見ずんば起滅を見る人の一日生くるに如かず。
114
人若し生くること百年ならんとも、不滅の道を見ずんば、不滅の道を見る人の一日生くるに如かず。
115
人若し生くること百年ならんとも、無上の法を見ずんば、無上の法を見る人の一日生くるに如かず。
(1) 事物の生起滅盡、卽ち生滅を云ふ。
惡業品第九
116
善業には急ぎて赴き、惡業よりは心を防げ、福業をなすに懶きものは、其の心惡業に樂む。
117
人假令惡業を爲すとも、再再之を爲すなかれ、作惡の欲は起さざれ、惡を積むは苦なり。
118
人若し善業を爲さば、再再之を爲せ、作善の欲を起