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不作ふさとをよかし。

51 いとしく、いろはなの、にほひなきがごとく、かれたることばも、これおこなはざるものにはかうなし。

52 いとしく、いろはなの、加之しかもにほひあるがごとく、かれたることばは、これおこなふものにはかうあり。

53 華堆はなつみよりして、種種しゆじゆ華鬘けまんつくるがごとく、うまいでたる衆生しゆじやうには、すべき善業ぜんごふおほし。

54 華香けかうかぜさからうてかず、旃檀香せんだんかう多伽羅香たがらかう摩利迦香まつりかかうも〔またしかり〕、善人ぜんにんにほひかぜさからひてき、良士りやうし諸方しよはうかぜおくる。

55 旃檀香せんだんかうと、多伽羅香たがらかうと、鬱波羅香うつぱらかうと、婆師吉香ばしきつかうと、此等これら諸香しよかううちにて、戒香かいかうこそは最上さいじやうなれ。

56 多伽羅香たがらかう旃檀香せんだんかうごときは、かうりやうすくなし、戒德者かいとくしやかう諸天しよてんうちにてにほふことだい一なり。

57 此等これら戒德かいとくあり、精勤しやうごんにしてぢゆうし、さとりて、解脫げだつせるもののだうは、魔王まわうこれうかがらず。

58 59 大道だいだうに棄てられたる塵堆ちりづみうち其處そこ淨香じやうかうある、こころよき白蓮びやくれんしやうぜん、かくごとく、塵埃ぢんあいのうち、盲目まうもくなる凡夫ぼんぷのうちに、正徧覺者しやうへんかくしや弟子でしは、智慧ちゑもつひかまさる。

(1) 四向四果の中、最後の一果阿羅漢果を除き、前の四向三果の人を有學の人と云ふ、やがて阿羅漢となる人なり。 (2) 阿羅漢果を云ふ、是れ阿羅漢果を得れば、死王卽ち魔王を見ることなきが故なり。


闇愚品あんぐほんだい

60 目睲めざめたるものには、よるながく、つかれたるものには(1)由旬ゆじゆんとほく、正法しやうほふらざる、愚者ぐしや輪廻りんねひさしし。

61 旅者りよしやおのれまさり、〔おのれと〕ひとしき〔とも〕を得ずんば、必ず單行たんぎやうせよ、愚者ぐしやともたるものはあらず。