りたる人には怖畏あることなし。
40
此の身は水甁に似たりと知り、此の心を(3)都城の如くにし、智慧の武器を以て魔と戰ひ、勝ち獲たるものは之を護り、住止することなかれ。
41
げに此の身は久しからずして地に委せん、棄てられ、意識を喪ひ、無用の木の端の如くなりて。
42
賊は賊に對し、敵は敵に對して、此をなし、彼をなす、邪路に陷れる心は、更に大なる惡を此の人になす。
43
母も父も將た他の近親も之をなさず、正路に立てる心は更に大なる善を此の人になす。
(1) 生死海を云ふ。 (2) 堅く護るを云ふ。
華品第四
44
此の大地と、閻魔界と、此の人天界とに勝つものは誰ぞ、誰か善く說かれたる法句を〔集むること〕、巧者の華を集むるか如くなる。
45
(1)有學の人は大地と、閻魔界と、此人天界とに勝つ、有學者は善く說かれたる法句を〔集むること〕、巧者の華を集むるか如くす。
46
此の身は水泡に譬ふべきを知り、陽炎の質なりと悟りて、天魔の華箭を壞り、(2)死王不覩〔の地〕に往かんことを。
47
華を摘みて、心愛著せる人をば、死王の捉へて去ること、眠れる村里を、暴流の漂はし去るが如し。
48
華を摘みて、心愛著し、諸欲に飽くなき人は、死王之を服す。
49
猶ほ蜂の、花と、色香とを害ふことなく、味を捉へて去るが如く、同じく智者は村里を遊行せよ。
50
他人の邪曲を〔見ず〕、他人の作不作を〔思はず〕、唯己