じ、信心あり、精勤なるもの、魔王の斯る人を動かすことなき、猶ほ風の石山に於けるが如し。
9
人にして煩惱なきものこそ、黃色の衣服を著くべけれ、調御なく、實語なきもの、彼に黃衣は相應しからず。
10
旣に諸の(6)漏を棄て、善く戒に安住し、調御あり實語あるもの、彼にこそ黃衣は相應しけれ。
11
(7)非精に於いて(7)精の思をなし、精の上に非精を見るもの、此等(8)邪思境の人は、〔遂に〕精を得ることあらじ。
12
精を精として知り、非精を非精として知る、此等(8)正思境の人こそ、精に達するを得べきなれ。
13
惡く葺きたる屋舍は、雨の之を侵すが如く、修練せざる心は愛欲之を侵す。
14
善く葺きたる屋舍は、雨の之を侵すことなきが如く、修練したる心は愛欲の之を侵すことなし。
15
此處に憂ひ、來る世に憂ひ、惡を作すものは兩處に憂ふ、彼は憂ひ彼は悲む、己の汙れたる業を見て。
16
此處に喜び、來る世に喜び、福を作せるものは兩處に喜ぶ、彼は喜び彼は悅ぶ、己の淨き業を見て。
17
此處に苦み、來る世に苦み、惡を作すものは兩處に苦む、「われ惡業を犯せり」とて苦み、惡趣に陷りて益益苦む。
18
此處に歡び、來る世に歡び、福を作せるものは兩處に歡ぶ、「我福業を作せり」とて歡び、善趣に生れて益益歡ぶ。
19
(9)佛語を讀誦すること多しと雖も、放逸にして之を行ふことなくば、牧者の他人の牛を算ふるが如く、(10)沙門道に於て得る所なし。
20
佛語を讀誦すること少しと雖も、正法の隨法行者たり、