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  いつはりと おもはましかば ことわりを たゞすのもりの

  ゆふしでに やよやいさゝか かけてとへ みだりがはしき

  すゑの世に あさはあとなく なりぬとか いさめ置きしを

  わすれずば ゆがめることを またたれか ひきなほすべき

  とばかりに 身をかへりみず たのむぞよ そのよを聞けば

  さてもさは のこるよもぎと かこちてし ひとのなさけも

  かゝりけり おなじはりまの さかひとて ひとつながれを

  汲みしかば 野なかのしみづ よどむとも もとのこゝろに

  まかせつゝ とゞこほりなき みづくきの あとさへあらば

  いとゞしく つるがをかべの あさひかげ 八千代のひかり

  さしそへて あきらけき世の なほもさかえむ。

  ながゝれとあさゆふいのる君が代をやまとことばにけふぞのべつる」。

十六夜日記