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思はぬ人も立ちとまりぬ。入るべきやうもなくて立ちあかすもをかし。みすのいと靑くをかしげなるに、几帳のかたびらいとあざやかに、裾のつま少しうちかさなりて見えたるに、直衣のうしろにほころび絕えず着たる君だち、六位の藏人の靑色など着て、うけばりてやり戶のもとなどにそばよせてえたてらず。へいの前など〈三字かたイ〉にうしろ押して袖うち合せて立ちたるこそをかしけれ。また指貫いと濃う直衣のあざやかにていろいろのきぬどもこぼし出でたる人の、すを押し入れて、なから入りたるやうなるも、とより見るはいとをかしからむを、いと淸げなる硯ひき寄せて文書き、もしは鏡こひてびんなどかき直したるもすべてをかし。三尺の几帳をたてたるに、もかうのしもは唯少しぞある。とに立てる人、內に居たる人と物いふ顏のもとにいとにくゝあたりたるこそをかしけれ。たけのいと高く、短からむ人などやいかゞあらむ。猶よのつねのはさのみぞあらむ。ましてりんじの祭のてうがくなどはいみじうをかし。とのもりの官人などの長き松を高くともしてくびはひき入れて行けば、さきはさしつけつばかりなるに、をかしうあそび笛ふき出でゝ心ことに思ひたるに、君達の日のさうぞくして立ちとまり物いひなどするに、殿上人の隨身どもさきを忍びやかに短く、おのが君達のれうにおひたるも、あそびにまじりてつねに似ずをかしう聞ゆ。夜ふけぬれば猶あけて歸るを待つに、君達の聲にて「あらたに生ふるとみ草の花」と歌ひたるも、このたびは今すこしをかしきに、いかなるまめ人にかあらむ。すくずくしうさし步みて出でぬるもあれば笑ふを「暫しや」など、さ夜をすてゝ急ぎ給ふ。「とありて」などいへど、心ちなどやあしからむ、た