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相面百稽滑

るから、わけだとくと、使者しゝやふには、子供こどもとき手習てならひかなんかするに、物忘ものわすいたし、其時そのとき親父おやぢやおふくろけつをつめツてれた、スルといたおもつて、おもしたこと御座ござるから、どくだが三太夫だいふさんにけつをつめツてれとたのんだのだ、三太夫だいふさんよろしい遠慮ゑんりよなくけつをまくれと、けつをまくらして一しやう懸命けんめいでつめると、當人たうにん一向いつかうつうじませんとるのだ、しまひには田中たなかさんもひたひ靑筋あをすぢして、土手どてをかじつてつめつたが一かうつうじませんだ 「オイ留公とめこう土手どてふのはんだ 「三太夫だいふさんはいから土手どてじやアないか、れだからなあんま可哀想かあいさうだからおれこれからつて、一ばんけつをつめつてやらうとおもふのだ せよ、れだからてめへことをお煙草盆たばこぼんふのだ、んてふとひとよりさきたがる だまつてろ、ベラぼう此方こつちこれでも江戶子えどつこだ、ひとこまるのをられるかイ、一ばんつめつてたすけてるのだ、けつかたくつてつかなければ、釘拔くぎぬきでつめつてるのだ、 「オイ無暗むやみことをするな ひつてことよ」とヅカ御中おなかくちつてまゐ