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相面百稽滑

のでみなにげましたが、其中そのうち大工だいくとめ人物じんぶつげそこねて、委細ゐさい樣子やうすきまして、やうにはまゐりまして、一人ひとりでゲタわらつてりますから友達ともだちが、 「ヲイとめなにわらつてやアがるのだ、面白おもしろくもねエ ところがなみんきねヱ、おれ可笑をかしくつてたまらねヱよ んだ ほかじやアねヱが、今日けふ屋敷やしき使者しゝやたらふ、その使者しゝやがヨ、此方こつちからは田中たなか太夫だいふさんで、拙者事せつしやことなんてヱもので御座ございとやツつけるとな、その使者しゝやめうつらをして田舍ゐなか言葉ことばヨ、手前事てまへことはヱーとつてしばらかんがえてて、やう松平まつだひらまさめの家來けらいまたヱーと呻吟うなつて、じぶ田次武左衛門たじぶざゑもん舍弟しやていで、ヱーと呻吟うなりやアがつて、またやうおもして、じぶ田次武右衛門たじぶゑもんまをもの御座ござる、とやう挨拶あいさつをするとな、田中たなか旦那だんな使者しゝや口上こうじやうはとくとな、使者しゝや口上こうじやうわすれたとつて、切腹せつぷくをするから座敷ざしきせとふのだ、 「ソイツは大變たいへん「マアけツてヱば、田中たなかさんも大變たいへん心配しんぱいをして、うかおも工夫くふうはないかとくとな、へんてこなかほながらけつ自分じぶんでつめツて