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相面百稽滑

さま御屋敷おやしき御使者おしゝやアーとみで、使者しゝやとほると當家たうけ重役ぢうやく田中たなか太夫だいふ御年輩ごねんぱい御方おかた禿はげつむり眞中まんなか蜻蛉とんぼたやうなまげをつけて、れへまゐりまして これ御使者おしゝや御苦勞ごくらうぞんじます、拙者事せつしやこと赤井御門守あかゐごもんのかみ家來けらい田中たなか太夫だいふまをもの以後いご御見知おみしおかれて御別懇ごべつこんねがはしふぞんじます 次武「コレは御叮嚀ごていねいなる御挨拶ごあいさつ自分事じぶんことはヱーソノんで御座ござる、松平まつだひらまさめのしやう家來けらい、ヱーじぶ田次武たじぶヱーソノじぶ田次武左衛門たじぶざゑもん手前てまへ舍弟しやてい御座ござる、ヱー手前事てまへことは、ヱーじぶ田次武右衛門たじぶうゑもんまをもの以後いご御見知おみしおかれて御別懇ごべつこんねがひまするで、なア 手前てまへ田中たなか太夫だいふで、御使者おしゝや御口上ごこうじやう次武「ハイ、手前事てまへこと松平まつだひらまさめのしやう家來けらいじぶ田次武右衛門たじぶうゑもんまをしまするもの御見知おみしおかれて御心安おこゝろやすねがひます 御名前おなまへりやううかゞひましたが、シテ御使者おしゝや御口上ごこうじやう次武「ハイ、これははやこまつたこと出來しゆつたいゝたして御座ござる、武士ぶしにあるまじきことで、當家たうけ御座敷おざしき拜借はいしやくして切腹せつぷくいたさんければならんこと出來しゆつたいゝたしました、ハイじつ面目次第めんもくしだい御座ござらんが、使者しゝや口上こうじやうぶち