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そこで吾人は男女の結婚に關し、それに類する習慣の世界に存せる者を見なければならぬ。余は嘗てクリッフォード、ハウァードの性の崇拜(Sex Worship)に於て男根が柱として象徴せられて居る數多の例證を讀んだ。今其の一二例を引用して見ると。

陽莖の形を精密に表はした像は、古代に於ては甚だ普通なるものであつた。此れ等はあらゆる形及び種々の大さに造られ、石膏製のもの多く、木、石、象牙、製のものもあつた。時には勃起せざる狀にも造らるゝがこは一般に其の形小にして婦人が御守として帶びたのであつた。此の如き御守は今猾印度の生殖器崇拜者中に行はれ、其の多くは形小く、金銀象牙水晶又は聖き木材にて製せられ、腕胸及び頭布に着けるのである。されど此れ等の陽莖像中最も普通なるは直立の形を表はせるもので、其の形の陽莖が最も能く造物主の神性を示めすと認められたのである。此像を家の守護神として用ゐる時には凡そ實物大に造り、宗敎上の祭禮及び寺院にて用ゐる時は特に大きく之を造り時としてはニ三十呎の高に達せしめ他の部分も之れに應じて大きくした。