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ある。神の系譜であり、天皇の系譜であり、乃至は人民の一般的系譜であるのである。
古事記は大國主神を述ぶること頗る詳かである。大國主神は素盞嗚尊の系統である。兄弟八十神。皆稻羽の八上比賣に婚せんとの意があつた。而して大國主神が帒を負はせられ從者せられたこと、蓬と和邇の傳說、八上比賣、八十神に歸せずして、大國主神に歸し、八十神怒りて之を殺さんと畫策せる、等敍して詳かである。卽ち大國主神が大八洲に於る唯ーの勢カ家であつたことは明かである。
古事記の書き方は頗る面白い。大國主神を敍し了つて行を更め
- 天照大神之命以。豐葦原之千秋長五百秋之水穂國者。我御子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命之所知國。言因賜而。天降也。
と言ふて居る。正さに是れ靑天の霹靂。正義の聲。天祖以來經營し給ひし國である。天孫の統治ますますのが至當である。高天原に於て種々評議發動後、最後に天尾羽張神及び其の子建御雷神を遺はし給ふた。ニ神出雲の國之き、大國主神に問ふて言はく。