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第一編 神  代

第一章 天孫の御降臨

 高天原にましませし天照大神は天孫天津彦彦瓊瓊杵尊に三種の神器を授け賜ひ、中臣の上祖天兒屋命・忌部の上祖太玉命・猨女の上祖天鈿女命・鏡作の上祖石凝姥命及び玉作の上祖玉屋命の五部神を以て天孫に配侍せしめ給ひ、勅してのたまはく、

 葦原の千五百秋の瑞穂國は是れ子孫ウミノコキミたるべきクニなり。宜しくオマシ皇孫スメミマいてシラせ。行矣サキク。寶祚の隆えまさんこと、當に天壌アメツチと窮り無かるべしと。こゝに於いて、天孫即ち神勅を奉じて天の磐座を放ちて、天の八重雲を排し分け、稜威の道別に道別きて、日向の襲の高千穂の峰に天降り給ひ、時に大伴連の祖天忍日命・久米部の祖天槵大來目は天の磐靭を取り負ひ、稜威高鞆を著け、天の梔弓を取り持ち、天の羽々矢を手挾み、八目鳴鏑を持ち、頭槌劔を佩いて天孫の御前に立ち仕へ奉つたのである。