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妖光殺人事件
一
私が弁護士手塚龍太の訪問を受けたのは、
彼は八木万助の義俠的の弁護人だったので、つまり、万助の精神鑑定に立会わして貰いたいと云うのだった。私はそれが法規上、許される事かどうかは、よく知らなかったが、彼が今までに度々万助に接していたとすると、万助が彼から何事か暗示を受けて、それが鑑定の邪魔になる事を恐れたので、万助と同室する事は断って、その代りに、隣室で問答を洩れ聞いている事を、許す事にした。手塚は
妖光殺人事件
一
私が弁護士手塚龍太の訪問を受けたのは、
彼は八木万助の義俠的の弁護人だったので、つまり、万助の精神鑑定に立会わして貰いたいと云うのだった。私はそれが法規上、許される事かどうかは、よく知らなかったが、彼が今までに度々万助に接していたとすると、万助が彼から何事か暗示を受けて、それが鑑定の邪魔になる事を恐れたので、万助と同室する事は断って、その代りに、隣室で問答を洩れ聞いている事を、許す事にした。手塚は